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One Cheer for Britannica !

 (Britannica 2.0. Windows Version &   MAC Version: $995 and £775)

 世界最古、最大の英語百科辞典、Britannicaは、1768年にスコットランドのエデインバラで初版が発行された。1920年、Britannicaはアメリカはシカゴへ移り、波乱万丈の230年を経て、現在われわれが図書館、研究室で利用する第15版が1974年に刊行された。いわゆる Britannica 3である。これは簡便な小項目中心のMicropaedia、大項目中心で、深く調べるためのBibliography をつけた Macropaedia、概略を知るための guide book ともいえる Propaedia の3部構成という革新的なものであった。これが毎年、約1割程度改訂されて現在にいたっている。100以上の国の4,000人を超す学者の優れた解説が平明な英語でなされている。

 このたび発売された Britannica CD-ROM 2.0 を使ってみた。CD-ROMを装着すると、次々に現われくるヤyes'や ヤcontinue' をクリックするだけでインストールは完了する。

 1枚のCDにBritannicaの全32巻の全項目が入っている。検索画面 (The Home Page) の Query Boxに語句や質問を入力して、Searchをクリックすれば、検索してくれる。Display(画面上)の表示は、3から120までの項目数が設定出来る。通常設定は10項目。各項目の最初のparagraphを表示してくれるので、探している項目が容易に見つかる。アンダーラインのあるキーワードをクイックすると、当該の論文が表われ、文章中のヤfigureユをクイックすると、図版が表われる仕組みである。Query Reportをクイックすれば、検索レポートが表われる。ヤkamikazeユは12項目に25箇所の言及があるという具合である。

 また、質問を入力すると答えてくれるという。質問のキーワードを察知して、4,400万語からなるデータベースから検索する仕組みになっているようである。Editでコピー、ペーストなどして、自分の文書に取り込むことが出来る。これまでに調べてきた内容の「一覧」、あるいは、「先送り」、「後戻り」、必要な箇所に「しおり」を入れるなど、CD-ROMならではの多彩な作業も出来る。

 1973年以前に刊行されたBritannicaはキーワードで直接本文を探し出すなり、Indexで言及されている箇所を検索することが出来た。Britannica 3 からは、Indexでキーワードを引いて、MicropaediaとMacropaediaのどちらの項目を探すのが効率的かという見込みをつけることが必要であった。

 Britannica CD-ROM の場合、Britannicaの全32巻の全項目のなかから、通常設定では、10項目の最初のparagraphを表示してくれる。探している項目の見当は容易につき、即座に数ヵ所をクイックして、印刷したり、コピー、ペーストなどの編集が自由自在となる。

 ただ、原本には24,000の写真、図版、カラー挿絵がある。Britannica CD-ROM には2,500しか載せていない。この点は今後改訂してゆくものと思われる。

 付属のNations of the Worldは世界の国々の情報が地図、国旗等とともに表示されるし、Merriam-Webster Collegiate Dictionary も利用できる。

 何か調べものがあると、Britannicaということになる。学生が研究室に質問に来たときも、Britannicaを取り出して、その問題の概要をつかんでから、専門的な研究書に入るよう指導する。学生はすぐに当該の項目でBritannicaを探そうとする。Britannica 3 の場合、検索方法が分からないという。そこで、Britannica 3 検索の実演となる。悲しきかな、そういうときは決まって机の上は書類やコーヒーカップが散乱して、Britannicaの数巻を開く場所を探す騒ぎとなる。コピー器が手元にないために数巻を抱えてキャンパスを移動することにもなる。

 ただ、今後利用者の批判を取り入れて、改善してゆく余地は大である。目下は、検索、編集機能、価格(原本の約半額)といった利点で、現在のところOne cheer for Britannica! といったところ。百科事典はその国の文化水準のバロメーターである。発祥の地Britanniaを遥か離れ、America に移ったとはいえ、とりあえず

 Rule, Britannica !

 

                                    (小林孝信)