アメリカを楽しむご案内

 

#日本アメリカ文学会講演会

 9月28日(木)夕、京都アメリカン・センターで。「バーラティ・ムカージ その作品とアメリカ社会」講師:バーラティ・ムカージ氏。

 

#日本英文学会中部支部大会

 10月7(土)8(日)日、金沢大学文学部で。研究発表は「アメリカ文学とNature Writing」など37件。

 

#日本フィッツジェラルド・クラブ例会

 10月7日(土)、京都大学総合人間学部E-22番教室で。発表:内田勉氏「フィッツジェラルドの最近の伝記の傾向について」

 

 

編集後記

◇久し振りに、のんびりした気分で学生たちと一ヶ月足らずアメリカをまわった。一時に比べると、大都会を中心に、町並みがきれいになっている。アトランタのアンダーグラウンド・シティー、ワシントンのメトロ、サンフランシスコの魚市場、ロスのリトル・トーキョウ・・・驚くほどきちんと整理された感じだ。なのに、なぜか落ち着かない。くつろいだ気分になれない。怖さと同居していた生臭い親近感がなくなっている。

◇空港で世話になる金属探知器のゲートのようなチェックポイントがあちこちにある。ホワイトハウス正面前を車が通れない。なにか絶えず見張られている感じだ。大都会の治安の悪さには気を付けなければと意識していたが、実際は犯罪の危険性よりも犯罪防止のシステムの非人間的な冷たさにぞっとさせられた。

◇この国ではいまや警備関係の企業が急成長。建築家は従来のように耐火、耐震、耐ハリケーンではなく、犯罪とテロを防止することを第一に設計する。犯罪発生率の高いエレベーターや階段をガラス張りにする。見通しの悪い「逢い引きの場」を公園から締め出す。住宅地も各家の間隔を狭め、共同体の「塀」を逆に高くす

る ・・・ここまで相互不信を前提とした町造りが流行りだしては、落ち着かなくなるのも無理はない。

◇やりきれない思いをしていたら、ある新聞で「犯罪よりも犯罪にたいする恐怖心がアメリカの様相を変えている」という特集にぶつかった。かと思うと、NRA(全米ライフル協会)のロビイストが書いた本が爆発的に売れている。P. K. Howard のベストセラー『常識の死』の副題は「アメリカは窒息寸前」とある。どうやら息苦しいのは旅行者ではなく、アメリカ人自身のようだ。

◇日本の安全神話はとうに崩壊したから、高見の評論をするわけではないが、なぜ?と問いたくなる。冷戦体制の崩壊の末端現象?文化多元主義の成果?マイノリティー化するヨーロッパ系アメリカ人の本能的防衛策?アメリカという歴史の終わりの始まり?・・・世界をリードする国アメリカ研究の必要性はますます高まっているようだ。

◇猪木先生の研究会への暖かいご助言、好評の古川先生の連載、いよいよこのニューズレターも手をぬけないと、身の引き締まる思いです。

なお11月には研究会をスタートして丁度一年になりますので、なんらかの催しものと共に総会を開き、今後の研究会の進め方についてご意見を伺いたいと思いますので、ご参加よろしくお願いいたします。改めて連絡をさせていただきます。             

(北詰記)

 

 

天理大学アメリカ研究会に加入ご希望の方は下記へお申し出ください。

 

天理大学アメリカ研究会ニューズレター

    (NO.6 : 1995年 9月 15日発行)

編集人 北詰洋一

〒632 天理市杣之内 1050

天理大学国際文化学部英米学科内

天理大学アメリカ研究会

電話 07436-3-1515 内線 6457, 6446