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 【研究室訪問】

人間学部 人間関係学科 松井華子 准教授

見えないからこそ触れてみたい 心の世界へようこそ

臨床心理学への入り口

私が高校生の時、日本は「臨床心理学ブーム」だった。バブル景気が終わり“これからはこころの時代”と叫ばれていた。その一方で、“心理テスト”がテレビ番組になり、“ココロ”がポップなコンテンツとして消費される空気もあった。折しも、臨床心理士の資格が誕生してから10年近く経ち、スクールカウンセラーの全国配置が始まろうとしていた─こう書くと、私が流行に乗り臨床心理学を学ぶことにしたようだが、そうではない。自分の学ぶ学問がブームの最中にあると知ったのは、大学に入学してからだ。 

しかし、当時旺盛な執筆活動をしておられた河合隼雄先生の著作を始め、多くの臨床心理学の書物が一高校生であった私の手元まで届いたことの背景には、臨床心理学的視点で世界の捉え方が変わるのだと広く知らしめたい人々の熱気があったことは間違いない。どのように生きるか、自分とは何者かと悩んでいたが、心理臨床の本に触れ「このような形で人間について考えることができるのだ」と感激したことが、現在の学問の世界への入り口だった。

このように、臨床心理学やそこで取り扱われる人間の心は、個人の内的な世界と、多数の人間や動植物や木や海や宇宙といった個人を超えた世界とのダイナミックな出会いにより成り立ち、変動する。このことが、いつも新鮮に世界と人間とに触れられるこの学問の面白さと関係しているように思う。

臨床実践と研究との関わり

心理臨床の一般的なイメージは、困り事を抱えた人に会って話を聞き、解決を考えるというもの(カウンセリング)だろう。しかし人間が自分のことを説明する方法は、言葉だけではなく、ジェスチャーや声色など多様で重層的なあり方をしている。そのような人間の存在を受け止める手法の一つとして描画がある。

私は大学院生時代から精神科病院に心理職として勤め、患者さんが絵を描く場に立ち会ってきた。真っ白な紙に線が引かれ始める瞬間は、何度体験しても息を呑むような鮮烈さで、その方が世界を創造するプロセスが、線となって示されていく。私はその場にいて、ただ絵を見つめ、お互いの存在を認め合うということをやってきた。そして描かれる絵がその人の存在をどのように映し出すのか、描画により“お互いが異なる存在であることを場を同じくして感じる”ことが人間をいかに支えるのか、調査や事例を通して研究してきた。

公認心理師の創設

新たな国家資格として、公認心理師が創設され、2018年度より天理大学でも養成のための新しいカリキュラムを開始した。心理職が注目を浴びるとともに、これまで築かれてきた臨床心理学と社会との接点についてあらためて問われるという大きな転機にさしかかっている。巨大なうねりの中で、どのように新しい世界が誕生していくのか、皆さんとともにその場に立ち会うのだと覚悟を新たにしている。

天理大学の学生へ

天理大学の学生は、豊かな感性を持っている。例えば心理療法の事例を題材に意見を聞くと、クライエントや治療者の心について実に的確に感じ取り言葉にできる。天理大学は、現在広く行われている箱庭療法を、河合隼雄先生が日本で初めて導入された大学だ。箱庭療法は砂箱の中にミニチュアを置くという形で心の世界を表現してもらう。天理大学の学生が見せてくれる豊かな感受性と、箱庭のような言葉のみに留まらない世界の探求とは、とても相性が良いように思う。心理職の世界が急速な広がりを見せる今、天理大学のオリジナリティを学生とともに噛み締めつつ、学問を探求していけることを楽しみにしている。

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