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 【生涯学習】

《公開講座記録》【外国語への招待】世界に広がる中国語—「漢語橋」世界大学生中国語コンテストを事例として

第4回 ●平成28年6月25日(土) 午後1:00
テーマ ●世界に広がる中国語—「漢語橋」世界大学生中国語コンテストを事例として
          ● 講 師  今井淳雄 外国語学科講師

内容

 近年、中国語の学習者数が世界的に増加している。中国政府公認の中国語資格である漢語水平考試(HSK)の日本語ウェブサイトによると、世界の中国語の学習者数は、4000万人に達し、日本でも200万人を超えるという(1)。このような世界規模での中国語学習者数の増加の背景について玉置充子は、「中国語の経済的価値が高まったことに加えて、それを影響力を拡大するためのソフトパワーとして積極的に活用しようという中国の国家戦略がある(2) 」と指摘している。

特に胡錦濤政権以降、中国政府は「中国語」を重要なソフトパワーの1つに位置づけ、それらソフトパワーを用いた諸外国の中国に対するイメージの向上を目的とする外交、すなわち「パブリック・ディプロマシー」(Public Diplomacy)を重視した外交を積極的に展開している。その典型的な例に「孔子学院」(孔子学堂を含む)があげられる。孔子学院は、2004年に国家対外漢語教学領導小組弁公室、現在の国家漢語国際普及推広領導小組弁公室(以下、国家漢弁)によって設立された中国語の教育機関である(3) 。2015年12月1日現在、全世界134の国・地域には、500か所の孔子学院と1000か所の孔子学堂が設立されている(4) 。孔子学院を設立した国家漢弁は、孔子学院の設立・運営以外にもソフトパワーとしての「中国語」を用いた関連プロジェクトを多数展開している。その1つが「漢語橋」世界大学生中国語コンテスト(以下、漢語橋)である。漢語橋は、2002年に「国家対外漢語教学領導小組」の主催(5) によって開催された世界の大学生を対象とした中国語の世界大会であり(6) 、2016年で第15回目を迎える。

この漢語橋には、日本の大学からも第1回大会から出場者がおり、過去数回において優秀な成績を収めてきた。そのなかでも天理大学国際学部外国語学科中国語専攻(以下、中国語専攻)では、2007年から出場者を出し、2009年には世界大会で一等賞、13年には世界大会で三等賞を輩出している (7)。それでは、中国語専攻は、この漢語橋にいかなる理由で参加し、大学の中国語教育のなかに位置づけてきたのだろうか。そもそも中国語専攻には、戦前の天理外国語学校の時代から中国語スピーチコンテスト(以下、コンテスト)に出場してきた歴史があり、今日に至るまで優秀な成績を収めてきた(8) 。特に2006年以降、コンテスト入賞を目指すための教育システムの構築が行われ、実践されてきた(9) 。このようなシステム構築の結果、近年では、中華学校で中国語を学んできた者、中華圏での留学経験を有する者や両親もしくはいずれかの母語が中国語の者が入学するケースが増加している。しかし、上記のような中国語既習者は、一般的に日本の団体が主催するコンテストには参加できないことが多く、学習成果を披露する場が確保できない等の問題があった。そこで中国語専攻では、中国語既習者でも参加可能な漢語橋への参加を促進することになった。以上のように、現在の中国語専攻の教育システムは、コンテスト出場を目的に構築されているため、漢語橋は中国語専攻にとって欠くことのできないものとなっている。一方で、漢語橋にとっても参加資格を上記のような中国語既習者にまで広げることで、より中国語力の高い参加者を集めることにつながり、コンテストそのものの質と権威の向上につながっているものと思われる。


(1)「ビジネス・就職に必須」漢語水平考試ウェブサイト、http://www.hskj.jp/about/business/、2016年6月15日検索。
(2)玉置充子「中国の対外中国語教育:『漢弁』と孔子学院」『海外事情』平成22年3月号, 2010年、122頁より引用。
(3)玉置充子「中国の対外中国語教育:『漢弁』と孔子学院」『海外事情』平成22年3月号, 2010年、123-125頁を参照。
(4)「関与孔子学院/課堂」孔子学院総部/国家漢弁ウェブサイト、http://www.hanban.edu.cn/confuciousinstitutes/node_10961.htm、2016年6月13日検索。
(5)実施・運営は承弁単位である「国家対外漢語教学領導小組弁公室」が担った。
(6)国家対外漢語教学領導小組弁公室編著『漢語橋第一届世界大学生中文比賽』国家対外漢語教学領導小組弁公室(出版年不明)、i頁を参照。
(7)2007、2009年当時は、国際文化学部アジア学科中国語コース。2010年4月より国際学部外国語学科中国語専攻に改組。
(8)天理大学五十年誌編纂委員会『天理大学五十年誌』天理大学、1975年、313を参照。
(9)中川裕三「具体的目標を掲げた言語教育—中国語スピーチコンテスト入賞を目指した事例」『外国語教育—理論と実践』第42号、2016年、53頁を参照。

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