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 【宗教学科】

宗教学科 オリジナルコラム−再考「同性婚」—神権と人権のはざまで(2014年2月9日号)

  先日開幕したソチ五輪開会式への出席をめぐって、各国首脳の対応が話題になった。昨年、同性愛の「宣伝」を禁止する法律を可決した開催国・ロシアのプーチン大統領に対し、主要国の首脳が同法への抗議などを理由に、開会式への参加を取り止めたからである。

 同性愛・同性婚については、本コラム(昨年7月7日号)で、米国をはじめとする先進諸国の動向を取り上げた。同性婚を是認する動きが、先進国を中心として、いまや世界的な潮流になりつつある。今回の開会式参加ボイコットの背景にあるのも、こうした流れである。

 一方、米国に顕著なように、聖書的な根拠からこれに断固反対する宗教保守派も多く存在する。にもかかわらず、同性婚容認の動きが、この10年ほどの間に世界的な潮流となったのは、マイノリティーの“人権擁護”という意識が、男女の生殖をめぐる議論—神学的にせよ生物学的にせよ—を抑えるほどの力を持つに至ったからである。

 これは一見、宗教的・伝統的な結婚観や生殖観が、世俗的な人権思想によって凌駕された事態のようにも見える。だが、この問題をめぐるローマ法王の言動を見ると、事は必ずしもそう単純ではないことも分かってくる。

 昨年1年間を通し、世界の宗教関連ニュースの中心には、新たに就任した法王フランシスコがいた。その気さくな人柄と飾らない物言いで、就任直後から彼はメディアの関心を集めている。

 特に注目を浴びたのが、同性愛に対する意見をメディアから求められた際に彼が語った、「判断するのは私ではない」という言葉である。この発言は、同性愛をタブー視してきたカトリック教会にとっては衝撃的なものであった。

 もちろん、法王が同性愛を是認したわけではない。だが興味深いのは、この発言が持つ「私もあなた方と同じ人間だ」という含意である。もちろん、そこには「最終的に判断するのは神だ」というニュアンスも含まれている。

 つまり、法王のこの発言は、いわば“神権”に訴えることで、結果的に“人権”概念に立脚する同性婚擁護の立場を、あたかも後押ししているかのように見えてくるのである。

 

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