Americas in Brief

「肌の色」を拒否する大学新入生

米カリフォルニア州で、少数民族への大学入試を有利にするアファーマティブ・アクション措置を住民投票で廃止することに決めてから1年半、西部の名門カリフォルニア大学で注目すべき現象が起こっている。

さる3月末、同校本部が発表したところによると、バークレー校では予想通り、現在の1年生の黒人数は前年より57%減、ヒスパニック系は40%減となっている。ロサンゼルス校(UCLA)でも同様、黒人は43%減、ヒスパニック系は33%減である。その分、入学生の割合が増えたのはアジア系で、いずれも約3割を占め白人系の割合をしのいでいる。

だが、両校で見ると上記のような深刻な問題になるが、カリフォルニア大学全体でみると、黒人、ヒスパニック、白人系ばかりか、アジア系の新入生の割合も1年間で減少した。では、少なくなった分、一体どこへ消えてしまったのか。実はみずからの「肌の色」を明らかにするのを拒否する学生が増えてきたということだ。具体的にいうと、新入生で「肌の色」を明らかにしなかったのは、前年度の5.1%から14.3%と、ほぼ3倍増になったのである。同大学の追跡調査によると、「肌の色」を拒否している学生の8割は白人系もしくはアジア系だという。

なぜこのような現象が起こりだしたのか。その点、客観的な分析はまだ行われていないが、一般的な傾向として、文化多元主義の論争とは裏腹に、若者の間で異人種間の結婚に対するタブー意識が1970年代以降急速に薄れてきたこと、またすでに多数の人種の血が流れている人間がどこかの「肌の色」の所属にされるのを忌避する傾向が若者の間で強くなっていること、などがあげられる。やはり多民族社会の融合を望む傾向は若者を中心に高まっているようだ。