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ハワイ先住民主権回復運動に関する情報収集(3)

5. メーリングリスト「KANAKAMAOLIALLIES-L」について

ネイティブハワイアンでハワイ大学人類学部博士課程の学生、リネット・クルスと、同じく政治学部博士課程のリチャード・サルバドールが主宰する、ハワイ先住民主権回復運動と関連する問題について議論するリストである。ネイティブハワイアンとは誰のことか、ネイティブハワイアンにとって主権回復、自治とは何か、世界の先住民の現状はどうなっているのか、ネイティブハワイアンではないハワイ住民が運動にどう関わっていくかといった問題等について、ハワイ内外から意見が寄せられる。民族中心主義的傾向から敬遠されがちな運動であっただけにハワイ住民はもとより、海外からもアイディアをとりいれ、共に考えていくといった方向性には大いに興味がわくところである。最近、先述のNation of Hawai'iのホームページにも、「議論はこのリス トでどうぞ」と紹介されるようになった。

6. ニュースグループの利用

 特定のグループへの登録は必要なく、数あるグループの中から選び、誰でもが記事を見(購読)、意見や質問をする(投稿)ことができる掲示板である。従って、それぞれのグループでは様々な意見や質問が入り交じっており、話題は深化というより拡散の傾向にあるように思う。「○月にハネムーンでハワイ島を訪れるが、観光スポットを教えてほしい」といった種類の質問も見られる。しかし掲示板の利点を生かせば、いつ、どの地域で抗議集会やデモ、学習会がある等という極めてローカルな情報もたくさん得られるのである。その詳しい内容について、上記のリストで問い合わせたりしている。私はsoc.culture.hawaii、soc.culture.native、 alt.native、 alt.culture.hawaii等のニュースグループを利用している。

 ニュースグループの検索にも先述のAlta Vista等のサーチエンジンが役に立つ。検索範囲をwww からusenetにかえるだけである。利用にはニュースリーダーというソフトの設定が必要だが、そ の方法はその分野の技術解説書を参照して頂きたい。

7. 最後に

 インターネットを利用することで、情報へのアクセスのあり方が大きく変わってきている。ネット上の情報は誰でもが得られる時代である。時間とお金をかけて、どれだけ情報を持っているかということよりも、その情報をどう処理し、分析するかが今まで以上に問われている。しかしながら、今のところ私の興味の対象としての、現在のハワイ社会における先住民の運動の動(もちろんネット上に現れるのはその一部にしかすぎないが)をわずかな時間差で知れるのは大きな収穫である。電子メールを使い実際に運動団体と接触できるのも魅力のひとつである。本稿はその情報収集だけに限定し、恥を承知の上で素人の私がインターネットでやっていることについて貴重な紙面を使わせて頂いた。情報の分析については別の機会に行なえたらと思っている。

参考文献:調査のためのインターネット(アリアドネ ちくま新書)

     インターネットと英語教育(朝尾幸次郎・斉藤典明 編 大修館書店)

(山本 享史)