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ディスクの入り口と出口??

 

 知ってた方は笑い草に聞いてくださいこの話。

 複数個のハードディスク(以下HD)を1台のマックに繋ぐときは、文字通り、芋蔓式に繋ぎます。前々回に紹介した「デージーチェーン」と言うやつです。そのため、各スカジ機器には連結ケーブルを差し込む2つのスカジ端子が、大概は、機器の後部にあります。

 これらの2個のスカジ端子は、一方が他のスカジ機器からの入り口になり、他方が更に別のスカジ機器への出口となるわけです。さて、筆者が始めて2台目のHDを購入したときこのデージーチェーンのやり方を店員に教えてもらったわけですが、そのとき彼ははっきりとこう言いました。「2個の端子のどちらが入り口になっても、出口になっても構いません」と。そして、彼の言葉は至極理にかなってました。

 第1に、ビデオ機器の入出力端子とは異なり、スカジ端子には入力と出力の違いを示すような表示がどこにもありません。ビデオ機器の場合は、映像と音声のそれぞれについて、入力用の端子と出力用の端子がありますが、それらの端子の近辺にはちゃんと「入力」、「出力」の表示がしてあるでしょう。それがスカジ機器には全く見あたらないのです。だから、もし両者の区別があるのなら、表示があって当たり前と考えるのが自然じゃありませんか?現に、そんな表示のあるスカジ機器を今まで一つも見たことがありません。第2に、スカジ端子の形状からも、そのような区別を示唆するものは全くありません。筆者の1台目のHDにも、2台目のHDにも全く同形のスカジ端子が付いていて、相互に区別があろう等とは到底推測不可能です。異なる役割を持つ端子類は異なる形状をしているか、もしくは、異なる表示があるのがマックの定石です。現在、形状の異なる2個の端子のあるスカジ機器を1台持っていますが、やっぱり、入出力の違いを示す表示はありません。第3に、多くのスカジ機器の働きから言ってもそうでしょう?2台のHDがデージーチェーンされている場合、どちらのディスクからも他方へデータやファイルをコピーできるもんね。筆者が持つビデオ機器はいずれも一方通行です。皆さんのもそうじゃありませんか?

 かくして、筆者はこれまでずっと、かの店員の言葉を信じて疑わず、そのようにスカジ機器を扱って何等問題に出くわすこともなく、かれこれ10年近くになります。しかし、しかしです、なんと、もう何年も愛用している筆者の3台のHDのスカジケーブル端子は、入り口と出口を明確に区別していたのです。今日、たまたま、そのうちの1台を普段繋いであるマックから切り離し、別のマックに繋ぐ必要が生じたのですが、用を済ませた後元のマックに繋ぎ戻して立ち挙げると、さっきまで素直にかつ軽快に作動していたものが、エラーのオンパレード。ファインダー画面にたどり着くまでに凍り付くかと思えば、爆弾は落とすし、ハードがおかしい等と言うような警告を出す始末。

 誇張ではなく本当に、10時間近く悪戦苦闘に七転八倒の末、後はもう、この理由しかあり得ない。出口と入り口の区別のみ。それで、ふと先に用のあったHDの後部を見ると、マック本体からのケーブルが以前とは異なるケーブル端子に差し込んであったのです。(本当はこんなに簡単ではなく、真剣にハードがいかれたのではとまで考えたほど込み入った戦いだったのですが、要点はこれで伝わるのと、紙面の都合上大幅に端折ってあります。)問題氷解の後、くだんの店員に電話すると、「あくまで原則的には区別がない筈なのですが、メーカーや機種によっては、区別のあるものもあるようです」だって。ほんとにもー!怒るよ!

 複数台のHDをデージーチェーンで繋いでいて、これまで問題なく作動していると言う読者の皆さん、それは偶然に正しい連結をしているに過ぎない可能性があります、将来のために、スカジ端子の近くに、「入り口」、「出口」とメモっておくことをお勧めします。ケーブルをたどって、マック本体に行き着く方の端子が「入り口」ですので、念のため。なお、マック本体とスカジ機器を繋ぐケーブルは「システムケーブル」、スカジ機器同士を繋ぐケーブルは「ペリフェラルケーブル」と呼ばれ、互いに異なった形状をしていて、相互代用が利かず、HDに同梱されるケーブルは前者に決まっています。後者が必要な場合はHD購入時に販売店に言えば、大概は、無料で前者と交換してくれます。

(平木多聞)