Libraries overseas

海外でも活躍する天理図書館

  天理教は大学付属天理図書館だけではなく、海外、とくに南北アメリカで一般用図書館を開設、広く日本文化の研究と普及の一助になっている。

ロサンゼルスのアメリカ伝道庁の「ひのもと文庫」が開館されたのは1954年5月29日である。

34年、アメリカ伝道庁設置と相前後して、庁内にある教内書を中心とする図書3千冊を、教内人の閲覧に供したのがその始まりである。これらの書物は、戦争中に日系人収容所で大いに利用されたものの、その大半は散逸してしまった。

51年、戦後はじめてアメリカを巡教された二代真柱は「アメリカの人達には色々世話をかけた。何かお礼をしたいがどんなものがよかろうか」と庁長に問われ、「本はどうでしょうか」との提案に、直ちに賛同された。帰国後、自ら本を蒐集され、創刊号からの「国華」をはじめ、夥しい数の本を贈られた。

そして二代真柱は、54年、伝道庁創立20周年記念祭に臨席され、その折、一般公開図書館として、ひのもと文庫の開館式が執行された。

開館1周年に際して送られた祝辞の中で二代真柱は「(略)先ず理解をし合うことであり、そのためには何といっても文化の交流が第一であると思います。わたくしは今度の戦争を通じてその事をつくづく感じさせられました。(略)二つの国をつなぐくさびになり、かけ橋にもなればと考えて、日本文化研究機関として、ひのもと文庫を開設したのでありました」と述べられた。

その後も着々と蔵書は整えられ、一般の人々の支持も得て、文庫の名の高まるにつ

れ、建物の狭さが問題となり、69年、現在の文化会館(1階柔道場、2階ひのもと文庫)が落成した。

昨94年より、開館40周年を記念し、管内15地区に巡回図書を開始している。

現在も、毎年書籍は海外布教伝道部から送られ、蔵書数は4万冊、教外の会員は500名を数え、機関紙「ひのもと文庫ニュース」を年1〜2回発行し、教内外を問わず、読書愛好家や研究者に広く活用されている。作家の石川好氏も、以前、同文庫を利用した一人であり、青年会本部発行「大望」誌(平成5年6月号)に当時のもようを紹介している。

なお、ひのもと文庫と同様の趣旨で、ブラジル伝道庁並びにハワイ伝道庁にも、日本文化研究機関として、「天理文庫」が設置されている。     (今村 伊太郎)

 

 ひのもと文庫にある主な蔵書は次の通り。

 

「群書類従(図書刊行会、M.40)」「日本古典全集(日本古典全集刊行会、T.14)」「図書刊行会双書(図書刊行会、M.43)」「国史大系(国史大系刊行会、S.7)」「大日本古文書(東京帝国大学、M.34)」「大日本史料(東京帝国大学、T.11)」「風俗画報(東陽堂出版、M.22)」「国歌大系(国民図書、S.3)」「日本史籍協会叢書(東京大学出版会、S.44)」「天理図書館善本叢書」ほか、近代日本の文学者・諸学者の著作全集など多数。

 

◎ひのもと文庫

 Hinomoto Library

129 N. Saratoga St., Los Angeles,

CA 90033 USA

◎ハワイ天理文庫

 Hawai Tenri Bunko

2236 Nuuana Ave., Honolulu, HI

96817 USA

◎ブラジル天理文庫

Biblioteca Tenri

R. Pelotas, 385 (04012-001)

V. Mariana, S黍 Paulo SP Brasil