天理大学

  1. HOME
  2. 地域文化研究センター
  3. 共同研究
  4. 「アフリカの解放闘争−現代の『生きるルーツ』を求めて」
地域文化研究センター

「アフリカの解放闘争−現代の『生きるルーツ』を求めて」

研究代表者 戸田真紀子

概要

 サハラ以南アフリカ諸国での「開発」戦略および計画が大きく挫折してきたことは周知の事実だろう。では、何が挫折の原因なのか。その原因のひとつとして、本研究は、「文化」的側面が開発プロジェクトにおいて無視されてきたことに注目する。開発が西欧化および物質的成長の示す量的基準と同一視されてきたために、現地の固有の文化が軽視され、現地の人々が生きるうえで欠かせない「生きるためのルーツ」が台無しにされたのである。
 1960年の「アフリカの年」以来、否、植民地政府による開発の時代から、アフリカの諸民族の伝統・文化は、統治に利用されるほかは、西欧近代よりもはるかに劣った存在としてみられてきた。アフリカ人の側、特に、欧米で高等教育をうけたエリートほど、そう信じている様子がみうけられる。しかし、実際に、地方の村で開発プロジェクトを実施しても、村人は物質的な援助を期待こそすれ、そのプロジェクトに主体的に参加しようとはしない。西欧化、物質的成長を求めるプロジェクトの中に、アフリカの「生きるルーツ」を見出すことができないのがその理由のひとつである。アフリカ人が自分の属する民族の文化に自信と誇りを持ちながら、人権に反するような悪しき因習は排して、21世紀に継承されるべき伝統を再構築すべき時期にきていることを我々は認識すべきである。
 少なくとも、独立解放闘争の時期、アフリカの人々はそれぞれの民族の伝統・文化に誇りを持ち、自ら決定した方法で、植民地主義・帝国主義と闘った。西欧教育で学んだ西欧の手法を闘争にとりいれながらも、民族の文化をそれより低く評価することはなかった。本研究では、アフリカ諸国の独立解放闘争を比較検討することにより、アフリカの「生きるルーツ」を再検討したい。さらには、民族の「文化」について、生かすべき「伝統」と捨てるべき「因習」について、ジェンダーの視点から議論したい。

期間

2002年4月〜2006年3月

共同研究員

- 戸田真紀子(とだ・まきこ 天理大学地域文化研究センター) 
比較政治学

- 宮田敏之(みやた・としゆき 東京外国語大学外国語学科)
タイ社会経済史

 
- Gordon C. Mwangi(ゴードン・ムアンギ 四国学院大学社会学部)
平和学

- 北川勝彦(きたがわ・かつひこ 関西大学経済学部)
アフリカ経済史

- Lubega Y. Butanaziba (ルベガ・ブタナジバ ンクンバ大学:ウガンダ)
国際関係論

これまでの活動

 これまで下記の共同研究会を実施した(発表者と論題を記す)。

2002年11月9-10日

井野瀬久美恵 (甲南大学)「黒人王、白人王に謁見す」
北川勝彦「脱植民地化の時代とアフリカ」
2003年2月22-23日 G.C.ムアンギ
”Bandung Revisited: Rethinking Solidarity between North East Asia and South East Africa”
北川勝彦「南アフリカ社会史研究におけるシュラ・マークス」   
松島泰勝 (東海大学) 「太平洋諸島における独立運動」

2003年6月14-15日

G.C.ムアンギ 「アフリカ解放闘争精神−過去・現在・未来」
北川勝彦「アジア・アフリカ連帯の回顧と展望−日本からみた1950年代におけるアフリカの独立への動き」   
戸田真紀子「NGOはアフリカを救うか−TICAD IIIを通して」

2003年10月1-3日

オーストラレイシア・太平洋・アフリカ学会(The African Studies Association of Australasia and the Pacific)2003年大会(於Flinders University、オーストラリア )に出席・報告
北川勝彦 “Japanese Perspectives on Independence of African Countries in the Late 1950s and the Early 1960s”
戸田真紀子 “Culture and Participation of Marginalized People in Development: A Case Study of Rights of Women in North-Eastern Kenya”
G.C.ムアンギ “Bandung Conference: The Quest for a Moral Resolution to the Color Question”
[コメンテーター:D.ムーア(David Moore)ナタール大学、南アフリカ共和国)]
(大会責任者のターニャさんと。大会会場の中庭にて)
2004年4月24-25日

落合雄彦(龍谷大学):「アフリカにおける国家と安全保障」
武内進一(アジア経済研究所):「冷戦後アフリカにおける政治変動——政治的自由化と紛争」
高橋基樹(神戸大学大学院):「アフリカにおける『構造調整の政治経済学』再考−国家建設から国家破綻へ」
<討論者>土佐弘之(神戸大学) 遠藤貢(東京大学)

2004年11月27-28日

共同研究員及びオブザーバー参加の三藤亮介による報告書用論文の報告

2005年5月28日

日本アフリカ学会第42回学術大会において、北川、戸田、ムアンギが「アフリカの解放闘争再考」
(1)(2)(3)として、それぞれ報告をした。

2005年10月7-8日

共同研究員及びオブザーバー参加の三藤亮介による報告書原稿の報告

2006年4月18日

共同研究報告書出版(戸田真紀子編『帝国への抵抗』世界思想社)

これまでの研究成果と今後の展望

2002年度の研究会では、植民地と宗主国の関係、他地域の独立運動について議論し、2003年度は、オーストラレイシア・太平洋・アフリカ学会で報告し、海外の研究者と意見交換することができた。ここでの報告原稿の一部は、以下の形で論文として発表されている。

 北川勝彦 “Japanese Perspectives on Independence of African Countries in the Late 1950s and the Early 1960s” 地域文化研究センター紀要『アゴラ』第1号(2003年11月発行)、31〜46頁。
 戸田真紀子 “Culture and Participation of Marginalized People in Development: A Case Study of Rights of Women in North-Eastern Kenya” 同上、47〜58頁。
 2004年度の研究成果は、2005年5月の日本アフリカ学会第42回学術大会で報告をし、フロアからも様々な観点からの質問をいただいた。
 2005年度はまとめの年とし、報告書(戸田真紀子編『帝国への抵抗』世界思想社)を出版した。

(2006年3月31日 文責:戸田真紀子)
このページの先頭へ