国 際 文 化 学 部 懇 話 会 −第3回概要−



上谷 博 (天理大学名誉教授):「ラテンアメリカを語る」

◆概 要
 日 時: 2002年3月20日 15:00〜
 場 所: 天理大学第1会議室(研究棟3階)
 司 会: 初谷 譲次(イスパニア学科助教授)
 主 催: 天理大学国際文化学部


◆講演要旨
 ボーダレス社会という語がすでに言い古され死語に近い今日のキーワードは「グローバリゼーション」と「リストラ」であろう。 かつて、産業革命を経て世界の工場の名を欲しいままにしたイギリスが、経済の健全なる発展を保証しうる体制は自由主義であると 主張した時代があった。たしかに、自由、平等、民主主義は近代になって人類が産みだした貴重な思想であり、普遍的な宝なのである。 しかしながら、われわれが生きる近代という時代は、必ずしもこれらの概念を広く世界人類のために適応してきたわけではない。 自由と平等は資本にとっての競争の自由と平等であったとも言える。しかし、自由なる競争は必ず不均衡を産むものだ。そこで、 自由競争ではなく、階級別の競争を行うことを多くの国が主張する時代がきた。国家が大幅に経済に介入する、大きな政府の時代である。 多くの国では、基幹産業を国営化し、脆弱な自国の産業をさまざまな規制で保護しようとした時代である。
 さて、今日盛んに耳にする「グローバリゼーション」とは、ある時代には有効であったそういった国家による規制・保護がむしろ 発展の疎外要因となりはじめた時代を示すキーワードである。別名ネオ・リベラリズムと言われる、さらなる市場開放の要求が 高まっている時代なのである。まさに、「リストラ」とは世界の経済のありかたが大きく構造改革をとげつつあるなかで、それに対応 することを余儀なくされている状況をあらわしているのである。


上谷先生(前列左から三人目)を囲んで


◆上谷 博 (天理大学名誉教授) 略歴
 1937年5月23日 兵庫県三田市に生まれる
 1957年4月 天理大学外国語学部イスパニア学科入学
 1961年3月 同上卒業
 1962年3月 ペルー共和国、国立サン・マルコス大学文学部歴史学科3年次編入
 1965年12月 同上特別研究科を中退
 1966年4月 天理大学外国語学部イスパニア学科助手
 1967年12月 チリ共和国政府よりベルナルド・オヒギンス勲章オフィシアル章受章
 1968年4月 同専任講師
 1973年4月 同助教授
 1982年4月 同教授
 2001年11月 同名誉教授


◆主要著書・論文
 <著 書>
 1 『平凡社百科辞典』(1981年、平凡社)アンデス諸国関係七六項目担当
 2 『ラテンアメリカを知る事典』(1983年、平凡社)百科辞典と同一内容のもの
 3 『現代の差別と人権』(山田光一・内山一雄編、1993年、明石書店)分担執筆
 4 『共生を求めて』(山本直子編、1997年、宇多出版企画)分担執筆
 5 『ラテンアメリカが語る近代』(1998年、世界思想社)共編・著

 <論 文>
 1 「ラテンアメリカにおけるスペイン植民地経済社会構成について」(『 天理大学学報』第136輯、1982年)
 2 「ミニフンディオに関する一考察」(『ラテンアメリカ政経学会年報』第15号、1982年)
 3 「カリブ海地域におけるエンコミエンダについて」(『天理大学学報』第137輯、1983年)
 4 「ラテンアメリカにおける解放の神学」(『天理大学同和問題研究室紀要』第2号、1986年)
 5 「スペイン植民地支配下の原住民の抵抗の歴史について」(『南欧文化』第12号、1987年、文流)
 6 「地域名に関する一考察」(『天理大学学報』第163輯、1990年)
 7 「ラテンアメリカにおける民族について」(『天理大学学報』第165輯、1991年)
 8 「フジモリ大統領の選挙勝因の構造的分析」(『天理教海外布教伝道部研究論輯』第6号、1994年)
   その他、論文、翻訳、口頭発表多数





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