今回の現地での主なアクティビティーは、@ロンドン地下鉄(現在)全11路線の出発駅から終点までの全駅区間で流れる地下鉄車内アナウンスメントの録音、A地下鉄を利用し、また地下鉄と共に生活を送るイギリス人と外国人の計100人への地下鉄に関するアンケートによる意識調査、B地下鉄駅構内で演奏するミュージシャンへのインタビュー、等が主なものとなります。

 ロンドンのヒースロー空港に到着し、宿泊先となる天理教英国連絡所へと向かう地下鉄から早速研究開始。鞄からボイスレコーダーを取り出し、連絡所最寄駅まで録音しました。翌朝は着いた翌日ということもあり、まずは1年ぶりとなるロンドンの土地勘を慣らすため、市街を散歩させて頂きましたが、幸運にも2度目のロンドンです、1年振りとはいえすぐに土地勘は回復しました。昼頃には丁度『海外文化実習』でロンドンを訪れていた2回生の後輩達と合流し、少々ご一緒させて頂きました。

 その翌日から本格的に調査開始。各路線は駅数も走行距離も異なるため、まばらではありましたが1日2〜3路線の録音を行い、その週の終わりには早くも全路線の録音を終えてしまったのです。途中、地下鉄車内に携帯電話を置き忘れ紛失するというアクシデントも起きましたが、研究活動自体は絶好調でした。

 第2週目はアンケートを用いて、イギリス人と、現在ロンドンはニューヨーク以上に多国籍・多人種で溢れているという現状から、ロンドンに滞在・在住する外国人の計100人への地下鉄に関する意識調査を行いました。昨年「文化実習」の際にお世話になった語学学校に若干ご協力頂きましたが、ほぼ全てを、ロンドン中を歩き回って集めました。Regent's ParkやGreen Parkなど、広大かつ人が多い場所を中心に実施した結果、1日10人、多いときは1日20人というペースで消化していくことができ、これもその週の間に完了しました。

 そして最終週となる第3週目には、地下鉄駅構内で演奏する路上ミュージシャン達へのインタビューを実施しました。彼らの殆どはプロの演奏家で、その質は極めて高く、駅構内に「芸術」的な文化の渦を繰り広げています。そんな彼らから、是非その実態について引き出したいと思いましたが、これにはかなりの時間的なリスクが付いて回るため、実施に踏み切るにはかなり勇気が要りました。まず、訪れた駅にミュージシャンが居なければならない、断られたらまた次の駅を探さなくてはならないなど、誰でもよかった地下鉄アンケート調査とは違い、相手を「探さ」なくてはならず、それだけにかなりの時間を要するからでした。 にもかかわらず、なんと7人ものミュージシャンがインタビューに応じてくれたうえ、かなり詳しく語ってくれた人も居たので、これも期待どうりに運ぶ事ができたのです。

 最後にこの現地での研修の中でも最も中心に据えていた、「ロンドン交通博物館(London's Transport Museum)」を訪れ、ロンドン地下鉄の歴史とその変遷について学ぶことができました。また、日本では手に入らない様々なロンドン地下鉄に関する文献を発見することができ、この研修の集大成とも言うべき成果を得ることが出来たのです。

 このように現地の研修の全てが予想・期待以上に進めることができたのは、宿泊のお世話取りをして下さった天理教英国連絡所の皆さまと、ホームステイをさせて頂いたご家族の方々のバックアップがあったからです。皆さんへの感謝の気持ちのすべてを言葉にはできませんが、心から有難く思っています。たった一人でロンドンに来たにもかかわらず、こうした人々の暖かさのお陰で、地下鉄以上のものを得ることが出来たと思います。 この研究活動で得た成果を、卒業論文という形でお世話になった皆さまに恩返しさせて頂ければ幸いと存じます。