ワークショップ1 8月20日(土) 9:30~12:00

会 場 : 天理大学 3号棟

内容・講師紹介 (各コース定員30名程度)

1-A:「遊戯療法の基本を学ぶ」

仲 淳 (天理大学)

 遊戯療法で一番大切なのは、こどもの心にいかに寄り添っていけるかということだと思います。こどもが遊びを通して自分の思いを十分に表現して、本来の自分を取り戻していけるためには、セラピストのクライエント理解という見えない心の器の存在が必要なのです。
 本ワークショップでは、対話型のレクチャーと体感的ないろいろなワークを通して、「こどもの心にふれる」ということの基本について実践的に学びたいと思います。一つ一つの遊びにこめられている深い象徴的意味の理解の仕方や、遊戯療法における転移と逆転移についても考えます。

1-B:「児童養護施設における遊戯療法」
坪井 裕子 (人間環境大学)

 児童養護施設では、虐待だけでなく、様々な事情により家族と離れて子どもたちが生活しています。子どもたちの心のケアに対応するために、近年では常勤心理士の配置も進んできています。しかし、外来型の心理療法とは異なり、施設ならではの課題も数多くあげられます。そこで本ワークショップでは、虐待を受けた子どもの事例に基づいて、児童養護施設という生活に近い場での遊戯療法の特徴と留意点について検討していきます。施設臨床に興味がある方はもちろん、直接関わっていない方にも、現場を知っていただく機会になれば幸いです。

1-C:「遊戯療法 ―ことばが生まれる源として―」
森岡 正芳 (神戸大学)
徳田 仁子 (光華女子大学)
 遊戯療法の遊びの場が、クライエントにとって自分の内的世界を表現し、探求する意識的・無意識的活動の場として機能するため<ことば>の果たす役割は大きい。クライエントとセラピストとの深い内的交流から<ことば>が生まれることもある。また<ことば>が両者の間に必要な境界を作り上げる機能を果たすこともある。コラージュとスクィグルを主な媒介として関わった青年期事例について言葉の持つ多様な側面に着目しながら検討したい。
(事例提供者:仲村真理氏)

ワークショップ2 8月21日(日)  9:30~12:00

会 場 : 天理大学杣之内キャンパス(4号棟)

内容・講師紹介

2-A:「虐待を受けた子どもの遊戯療法 ―精神分析的アプローチ―」

 平井 正三 (御池心理療法センター)

 虐待を受けた子どもの多くは、情緒発達上の問題を抱えており、将来精神障害で苦しんだり適応上の大きな困難をきたしたりすることが知られています。児童養護施設や情緒障害児短期治療施設に入所するこうした子どもたちに対しては、単なる目先の「適応」だけにとらわれず、彼らが人生をフルに生きることのできるような手助けが必要です。発達精神病理学や精神分析の視点はその際必須ではないかと思われます。本ワークショップでは、そうした精神分析的アプローチからの遊戯療法について学ぶ機会にしたいと思います。

2-B:「遊戯療法中に行われる箱庭」
平松 清志 (ノートルダム清心女子大学)

 箱庭療法という心理療法の一技法は1965年に河合隼雄によってわが国に紹介され、広く普及している。しかし、この技法が単独で用いられることはむしろ少なく、一般的な心理療法や遊戯療法の過程で、面接室に設置された箱庭が必要に応じて併用されることが多い。本ワークショップでは、遊戯療法の本質として「遊びを心的現実として理解する」という立場から、遊戯療法中に行われる箱庭制作の位置づけ、その意味、遊戯療法過程のなかでどのように理解するか等について、参加者とともに考えてみたい。

2-C:「遊戯療法における初回面接」
伊藤 良子 (学校法人 神戸女学院理事)

 初回面接は心理療法において最もといえるほど重要です。初回には「関係性の樹立とアセスメント」の2つの視点を欠くことができませんが、この2つの視点は相反するものではなく、深く理解するという一事に収斂するのです。子どもの遊戯療法でも同様であり、子どもであっても、遊び等として初回に主訴を表現します。その場を守るセラピストの態度が遊戯療法の質を決定すると言えるでしょう。本WSでは、こうした遊戯療法の初回面接における重要な観点を具体的に検討します。事例提示いただく方を求めます。

2-D:「初心の遊戯療法家の問いに答える―澳門(マカオ)の院生に答えたこと」
山中 康裕 (京都ヘルメス研究所・京都大学名誉教授)

 遊戯療法についての初心遊戯療法家の問いをあらかじめ収集し、事例検討を通して、それらの問いに対する筆者の考えを述べる。昨秋、澳門(マカオ)であった国際学会(ユング派心理療法と箱庭療法と中国文化)で特別講演をした後、澳門城市大学の大学院生から質問を受けた。MSSMやMSSM+Cなど、そこで問題となったことは、どれもすべて大切なことばかりであり、今回は日本の大学院生の質問も踏まえて、遊戯療法の本質について考察したい。

2-E:「プレイのための見立て」
妙木 裕之 (東京国際大学)

 プレイセラピーに導入するかどうかを決定するために力動的なアセスメントを行う必要があるが、本セミナーではその力動フォーミュレーションのための知識や技術についてお話したい。この領域にはいくつか立場があるが、アンナ・フロイトの発達ラインの考え方、自我の診断などについてお話してから、ウィニコットの技法、そして子どもとの同盟関係の確立のなかで力動フォーミュレーションをお話していくつもりである。

2-F:「キンダ―カウンセリング(保育臨床)」
菅野 信夫 (天理大学)
 同一園に同じカウンセラーが定期的に訪問するキンダーカウンセリング(保育臨床)について紹介しながら、幼稚園や保育所で実践する際の特徴や留意点について考えてみたい。 活動の大きな柱は、園児のアセスメント、保育者とのコンサルテーション、保護者面接であるが、どの場面においても遊戯療法のエッセンスとなる「内的世界の理解」が重要となる。このことを基盤にしながら外的な現実へどう繋いでいくかが、保育臨床の要点と言えよう。WSでは発達障がいの理解と対応、外部専門機関との連携も含め、事例を中心に検討する。
(事例提供者:若林 彩氏)
2-G:「遊戯療法と親面接―子育て支援としての親面接の基本―」
安島 智子 (このはな児童学研究所)

 まず親面接は当事者にとって「役立った」と思えることが求められる。子どもに起きた問題をどう考えたらよいのか、子どもと日々どのように接したらよいのかといったことに適切に応えつつ、どんな家族であるのか、主訴をもたらしている本質的な課題は何かを解明してゆく。家族アセスメント、コンサルテーション、カウンセリング、家族布置の変容、子担当との協働はいかに、これらの事柄を中心に親面接について参加者と共に考えたい。